THE TRANSFORMERS UK ANNUAL1986


カバーイラストは
ジョン・ストークスによる。

86年のアニュアルになりますね。コミックと小説で、ボリュームたっぷり!マーベル期のアニュアルは最高です!

THE MISSION UK ANNUAL 1986
あらすじ:アラスカ高速道路を走り抜けるジャズ・・・凍てつく冬の寒さに耐えながらホイストの信号を追う。彼とホイストはコンストラクティコンの行動を監視する簡単な任務に向かうはずだった・・・敵がこの信号に気付いたら最後、ホイストの命は危険に晒されていた。

今となってはあらゆる場所に現れるディセプティコンに対処する為、オートボット戦士は散り散りになっていた。トラブルに陥った可能性のあるホイストがディセプティコンと戦闘していなければ良いが・・・ジャズはそう祈りながら発信源に急いだ。
山腹の暗い影に隠れながらホイストはフルスペクトラム・スキャナーを使用してコンストラクティコンを追跡、ついに彼らが下方の凍りついた川にトンネルを掘っているのを発見した。だが、更に進んだホイストは薄い氷に乗った途端、水中に落ち込み、硬い氷に挟まれて身動きが取れなくなってしまった!運良く、駆けつけたジャズにホイストは助けられたがコンストラクティコンに彼らの存在は知られてしまった!
コンストラクティコンの攻撃に傷ついたジャズをかばいながらホイストは森の方へと逃げる・・・ここならコンストラクティコンのスキャナーにかかりにくくなるだろうと信じて。川に行く為に南下する彼らだったが、途中でジャズがついて来ていない事にホイストは気付いた。ジャズは目の前の巨体に釘付けとなっていた。雪崩を起こすその巨大な影はデバステイターだ!木々を倒しながらデバステイターは突き進む!逃げるオートボットはついに川を発見した・・・森を越えたのだ!
川の100ヤード上方にはダムがあり、彼らのいる地点では川の流れは緩やかなものになっていた。もはや、そこにはホイストが考える程の利用価値はなかった。だが、そんな事で諦めるホイストではなかった・・・彼らはオートボットであり、戦いを終わらせるのだ。すぐにホイストは近くのパイン木を切り倒し、水面に浮かせた。下方ではデバステイターが森から出てきていた。ホイストはジャズを見る・・・ジャズはダムの目の前でその壁をスキャンしていた・・・。
「水の流れを防ぐなど腹立たしい。水はこの惑星で重要な役割を果たしている。この星は太陽系で重要な・・・とにかくこの壁は存在する事が間違いだ」ジャズがそう思った刹那、背後からデバステイターが迫ってきた!ジャズは敵の力強い腕によってコンクリートの壁に叩きつけられた!そして、その指先からビームが放たれたが、それはジャズをかすめて壁を突き抜けた・・・水が少し流れる。逃げるジャズを追って、ビームが次々に発射される。怒りに燃えたデバステイターの手がジャズの頭部を掴んだかと思われた瞬間・・・何もかもが無くなった。
ホイストはその瞬間を見ていた・・・ダムが崩壊する瞬間を!間髪入れず、ジャズを捕らえたホイストは彼を機能停止させ、パイン木を利用したイカダに乗せ、自らも乗り込んだ。ダムの崩壊と共に、水は勢い良く流れ出る!その洪水はデバステイターを分解・・・コンストラクティコンを散り散りにさせ、飲み込んでいく。
任務は終わった。失敗だったがまだマシな方だ。2日後・・・カナダ国境南のガソリンスタンドで眠そうな従業員はまるで戦地にいたかのようにボロボロになったポルシェがトゥトラックに運ばれてるのを見て驚いた。だが、更に驚いたのはそれらを動かしているはずの運転手が見当たらなかった事だった。

VICTORY UK ANNUAL 1986

あらすじ:戦いは激しかった。メガトロンにオートボットはほぼ全員倒された・・・プライムすらも! だが、グリムロックはまだ生き残っていた・・・「俺はプライムよりもはるかに強いっ!」ダイノボットリーダーはメガトロンをエネルゴソードで一刀両断。勝ち鬨を上げるグリムロックにスタースクリームが襲い掛かる・・・やられた、隙を見せたグリムロックは破壊されてしまった━闇、そして声・・「説明してくれ。何が起こっているんだ?」。

スワープはサウンドウェーブを捕らえ、空中に飛び去る。下方にいるプライムが彼を放すように命令しているがスワープは聞く耳を持たない。サウンドウェーブは自爆装置のボタンを押した・・・スワープは彼と共に死んだ━闇、そして声・・「でしょう、言ったとおりだ」。

自由を全身で感じながら、スラッジはジャングルを駆け抜ける!そこへ女性が現れた。それはジョイ・メドウズだった(#47~50参照)。彼女が自分の為に戻って来てくれたと考えた彼はジョイに近寄る・・・だがそれはメガトロンの罠だった!人工皮膚をむしりとり、ロボットの正体を現した彼女はスラッジにビームを発射━闇、そして声・・「もう戻ってもいいはずですがね」。

生きていたセンチュリオンに攻撃をするスナール。頭部を吹き飛ばし、安心して振り返ったスナールだったが、センチュリオンはまだ起動していた・・・そして、攻撃!━闇、そして声・・「そうは言うが、何がいけないんだ?」。

ショックウェーブの一殴りでみんなが倒されてしまった。スラッグは独りで敵を倒さねばならなかった。作戦は唯一つ・・・得意の頭突きで崖から叩き落すだけだ・・・自らと共に! そして、敵を地面に落とした・・・自らは沼へと沈む━闇、そして声・・
「まあ、要するに起きないと言う事です」そう言ったのはラチェットだった。 ここはアークのリペアベイ。「ダメージは直したんだが」彼が話をしているのはプライムだ。「この昏睡状態からかね?」「ええ、まあ、今は夢を見ているんですよ。何かが起きないとこのままですね」「このままだったらどうなる?」「ブレインプログラムは燃え上がり、空になります。つまり、死です」「これだけの負傷者がいるのに、彼らまで失う訳にはいかない。どうにか救ってくれ」。

[
残念ですがどうにもならない。彼らのプログラム内の何かしらの欠陥が起動を妨げているんだ。自分自身で勝たなければならない戦いなんだ]━ラチェットは去り行くプライムを見送りながらそう思うのだった。


このエピソードは#65の前に起こる話です。


STATE GAMES UK ANNUAL 1986

あらすじ:ターン━「メガトロン!」・・・観客の声援を背に、彼は圧倒的な強さでサンストリーカーを追い詰める。サンストリーカーにとってはとんでもない試合だった:メガトロンはターンの市民であり、この闘技場でターン市民の声援を得て試合を行えるのは有利ではあったが、それだけでは済まない何かが彼にはあった。
━剣闘技はサイバトロン星で一般的なものであり、個人の能力や武術の才能を示すものであった━
メガトロンの猛攻に恐怖を覚えた彼はこれがもはや儀式的な物ではなくなっている事に気づいていた。肩に食い込むエナジーアックスの痛みに耐え切れず、サンストリーカーは倒れた。ターンの市民は喜び騒ぎ、勝者はゆっくりと武器を空へ掲げる・・・「メガトロン、メガトロン、メガトロン!」━声援は場内に響き渡った。

オートボットの君主は自らにエネルギーを満たしていた回路が散りばめられた壁から離れ、立ち上がる・・・勝者に賞を与える時が来たのだ。彼はかつてサイバトロンを支配したオートボットの最後の型・・・。現在のように多くの独立都市国家を生み出す原因となった惑星規模の独裁政治の始まった理由は解っていないが、オートボットの燃料への欲望がその変化に貢献しているのは解っていた。彼自身がサイバトロニアンが死なない事の生きた証明である━数千年、あるいはそれ以上、自然死という物が考えられない概念であった。それにもかかわらず、新たなトランスフォーマーの命は創られ続けていた・・・いつの日か、惑星規模のエネルギー危機に直面するのは間違いのないことだった。そして、今・・・都市人口は許容範囲を超え、燃料争いが起こった。アイアコーンは新造された強大な都市であり燃料を得る事が出来た。エルダーらは権力を行使し、燃料をその住民達に分け与えた。2番目に巨大な都市であるターンの支配者であるショックウェーブや、ヴォスの名目上の頭首であるスタースクリームはそんな事はしなかった・・・彼らは少ないエネルギーを強大な軍隊を作り出す為に使ったのだ。

「お疲れのようですね」━猫のようなトランスフォーマーが部屋に現れた。「何じゃと?おぉ、ナイトストーカーか・・・そんな事はない」━君主が言う。彼とラベージは何世代もの君主のボディガードを勤めてきていた。アイアコーンとターンの仲が良くないのを懸念しながら、君主は部屋を出て行った。
闘技を見て、ラベージは少し興味を覚えていた・・・彼が数世紀の間、見た事の無いような技を持って戦うメガトロンを見たからである。しかしながら、彼はメガトロンに戦闘力以上のものも見たのだ・・・計算高く、頭脳は明晰。思うが侭に人々を扇動する事も可能。君主がサイバトロン星を治めてからというものの、見たことの無いリーダーシップも持ち合わせているようだった。メガトロンは偉大な人物と思えた。
再び闘技場━メガトロンはサンストリーカーの首を掴みながら囁く・・「この劇も終わりだ」。「もうやめるんだ!」・・・そこに現れたのはオプティマス・プライムだった。「貴様に邪魔をされる筋合いは無い」・・叫びながらプライムと対峙するメガトロン。その時、君主の声が響いた・・「暴力はやめるのじゃ」。「黙りなさい。お前は試合を汚しただけでなく、自分自身をも汚したのじゃ」・・逆らうプライムに君主はそう言った。そして、セレモニーの延期を伝え、プライムとの関係の改善を約束した。
ラベージは思った・・「君主はメガトロンの本当の性質に気づいているのだろうか?しかし、彼にとって君主の行く末などどうでも良かった・・すぐに亡くなり、この星の過去と共に忘れ去られるのだから。今日見た光景がサイバトロンの新たな歴史の第一章である事に彼は薄々感づいていた。

ターン発電所━試合が行われているので、ターンの発電所は酷く静かだった。工作員達はジェネレーターの前に集まった。その一人、トルネードは呟く・・「何でコソコソ隠れてやるんだ?」。すると背の高い影が近づいて言った・・「命令だからやるだけさ」・・その銀の体にはヴォス軍司令官のマークが付いていた。工作員はジェネレーターの周りに爆発物を撒いた。事が済んで、アイアコーン市民がやったのだという証拠を掴ませれば周りの連中は戦争をおっ始める。もちろんヴォスは中立を守る・・アイアコーンとターンが互いに破壊し終わるまでは。それからヴォスが惑星支配を進める・・そういう寸法だった・・・が、ターンの技師が一人侵入してきた・・彼は気づいて叫ぶ・・「お前達はヴォスの剣闘士達じゃないか!」。技師が警備に詳細を通信機で伝えた後、トルネードは旋風を起こして、技師を床に叩きつけ破壊した。ヴォスへ工作員が帰還してから1サイクル後、発電所は爆発。多くの者が謎に包まれた輝く炎を見つめていた。

アイアコーン━ターンがヴォスに開戦発表してからアイアコーン評議会は行き詰まりを見せていた。「戦況はどうじゃな?ターンからの逃亡者はどうしておる?」トマンディが聞く。応えるザァロン「皆、様々な都市に隠れています。そして、両州とも燃料とシェルターを求めています。トラーコン将軍、戦闘区域に平和維持軍を送る事を要求します」。「アイアコニアンをやるのはごめんだ。それにこのまま両都市が争い続けたら面白いとは思わんかね?」そんな回答だった。

ターン━メガトロンはかつての生まれ故郷であるターンの街並みを見回したが、アイアコーンに運命が待っていると知っていた・・そこでのみ、彼の野望・・すなわち、サイバトロン星をモビル・バトルステーションへ変え、銀河帝国を築きあげる事・・を達成できるのだ。
プライムは君主を無事にアイアコーンに送り届けなければならなかったが、ターンでの事件があった今では、危険区域を通らねばならなかった。メガトロンは計算上は安全であり、アイアコーンへ行く事は決意していたのでプライムの援助を申し出た。しかし、動きは遅かった・・・頻繁に突撃部隊に出会った事や年老いた君主の回路に再充電を何度もしなければならなかったからだ。前にある高速道路を通れば安全が確保できる国境に着いた彼らだったが、君主は疲れ果て、死を目前にしているようだった。プライムは彼の手当てに忙しかったが、これこそメガトロンの待ち望んできた瞬間だった・・道路上に倒れた多くのオートボット戦士をよけながら、半分ほど渡った頃だ、戦争と銀河帝国への思いで一杯だったメガトロンは弱りきった道路を壊したためにバランスを崩して下方へ落ちていった。記憶を失う前に覚えていたのは右腕に感じた鋭い痛みだけだった。

メガトロンは目を開けてプライムを見た。「落ちるのを防げて良かったよ」・・この言葉にはメガトロンの行動に対する侮蔑の意が込められていた。プライムはナイトストーカー、メガトロン、ラベージの3人に君主の面倒を任せてアイアコーンへ救援を求めに行った・・メガトロンによって作られた道の陥没部分を飛び越えて。
すぐに、君主の元にいるナイトストーカーのミサイルランチャーを強力レーザービームが溶かした・・ターンの突撃部隊だ!その時、敵を吹き飛ばす爆発が起こった━煙の中から現れたのはメガトロン・・倒れた戦士のフュージョンキャノンがその腕に取り付けられていた。
キャノンの威力にもかかわらず、彼らは持ち直した突撃部隊と行き止まりの道路に挟まれていた。「最後の望みはどうにかあの道を渡れるようにするだけだ、ラベージよ、ワシと来るか?」。メガトロンの言葉を聞いて、ナイトストーカーがラベージに叫んだ・・・「やめろ!ご主人様を残しては行けない、なぁ?」。だが非情にも突撃部隊の攻撃がナイトストーカーを破壊した。それと同時にラベージの攻撃が突撃部隊を全滅させた。
「助けてくれ・・お前のエネルギーを少し分けてくれないか?プライムが戻るまで」・・君主は言ったがメガトロンは答える・・「いや、一滴もダメだ」。君主さえいなければ彼の計画を阻止出来る者はいないのだ。攻撃にあった時のショックに耐えられなかったと言えば、プライムも他の者も納得するだろう。
君主はラベージに目を向ける・・。「同じ事を聞かないでくれ。惑星のパワーバランスは変わってきているんだ。未来の支配者と同調するさ」。ラベージはメガトロンの方へ寄った。

講堂の高座からメガトロンはかつてターンとヴォスの市民であったオートボットを見つめた。しかし、もはやその両都市は存在していない。「究極の抑止力」という2つの光子ミサイルによって破壊しあってしまったのだ。彼ら生き残りは結束していた・・・絶望感と失望感の下に。
アイアコーンは戦争を終わらせる事は出来たのにあえてそうしなかったと逃亡者達に説得させるのは容易であった。力をつける近隣の都市を倒す為にアイアコーンが戦争を引き起こしたと彼の前に集まっている者が信じていると知り、満足していた。かつての剣闘士が腕を上げると皆は静まった・・「我が軍は増大し、武器も増大した。この日より、我々はただのトランスフォーマーではなく、オートボットでもない。ディセプティコンと呼ぶ事にしよう!アイアコニアンに復讐を!」。講堂を出る時にメガトロンは聞いた・・皆がディセプティコンと叫ぶのを。彼の名を叫ぶのを━「メガトロン!メガトロン!メガトロン!」。



THE RETURN OF THE TRANSFORMERS UK ANNUAL 1986

あらすじ:ダニー・フィリップスは何処を見ても海草と流木しかない汚い浜辺を見渡した。そのずっと左側にダニーと母親が一週間前から滞在しているホテルがあった。「バケーション」と言うより「逃避行」と言う方がしっくりくる。彼は過去を思い出す・・・。
九月までのニューヨークの新聞にはアメリカ中で巨大ロボットを見たという人々の記事が載っていた。記事には彼らが宇宙から来た者であり、地球の軍事施設を襲ったという事が書かれていた。ダニーと同年代の子はそんな記事を読みふけりながらも信用せずに、ロボットがエイリアンだったにしても、母星ではとうの昔に暴力という概念を捨て去った高貴な生命体であると信じていた。彼らは平和と理解を求めて地球に来たのだと、世間には間違って認識されているだけなのだと信じていた。その後、ダニーは彼らと遭遇した。その日から、ダニーは出来うる限りのトランスフォーマーに関する記事をスクラップブックに貼り付けた。しかしまだトランスフォーマーに再び会う手がかりとなるような物は見つけていない・・。実はそれが彼の学生生活に支障をきたしている原因なのだ。「成績が下がったわね。友達とも会ってないみたいじゃない」・・・母親に朝食時に言われた。
現在・・・。浜辺で色々と考えながら、結論を出す・・・今はロボットを探す方が重要なのだ。そして、今、母親とチャールトンホテルに来た・・・彼女が言うには、街から離れて休みをたっぷりとる事が必要なのだそうだ。ダニーはロボットの事を少し忘れ始めていた・・・。
確認もせずに予約したホテルは寂れており、周りの施設も冬季は営業するところは無かった。唯一つの楽しみと言えるのは、海岸から数マイル離れた発電所ぐらいだった。ホテルの管理人が言うには、波の力を電力に変換する実験を行っている政府施設なのだそうだ。しかし、彼はそれすらどうでもよくなっていた。ロボットの事を忘れようとすればするほど気になっていく。実際、母親に気づかれぬようにスクラップブックを持ってきていたぐらいなのだ!「ダニー!お昼よ!」━母親が探しに来たのだ・・・寂れたホテルに戻るより、発電所に逃げる方が良かった。
セントヒラリー山の奥深く。プライムはアークのコンピュータを検索~要求データファイル━エアリアルボット━スペシャルチーム━シルバーボルト:指揮官━スカイダイブ:戦略員━ファイヤーフライト:偵察員━スリングショット:陸上援護━エアーレイド:戦士━注:5体のエアリアルボットは合体して、空中戦士スペリオンとなる━他の情報についてはキー#1250。数ヶ月前に言った「クリエイション・マトリクスの誤用は許されない」という言葉が彼の脳裏をよぎる・・・プロールらの勧める新世代の戦闘に特化した究極のオートボットを創る為にマトリクスを使用するのはいけない。そんな事をすればこの戦争に終わりはない。間違いなく、この地球は戦闘の跡残る荒野となる・・・サイバトロン星と同じように!!。しかし、状況は変わった・・・メガトロンは復活し、オートボットに迫ってくる。空中における戦力を強化するには前言を撤回し、そのメタルシェルにマトリクスで生命を吹き込まなければならなかった。しかし、他者と同様にエアリアルボットは弱点を持っていた。・・・プライムはコマンドチェアで考え込んだ・・・「その弱点がオートボット戦士としての彼らの有効性を妨げるかもしれない」と。
「司令官、お呼びですか?」━ジェットファイヤーが入ってきた。「ああ、ディセプティコン・エージェントが東海岸の小さな町にいるらしい。エアリアルボットを率いて、調査に向かってほしい。トレイルブレイカーが正確な座標を教えてくれるはずだ」━とプライムは続ける「彼らに関するコンピュータ・データだ。エアリアルボットの弱点や恐怖症についてだ。もちろんこれは内密の物だが、実際の戦闘状況下において、彼らの反応を試してもらいたい。任務の終了後、彼らがオートボットにふさわしいかを知りたい」。空を飛びながらジェットファイヤーは思う・・・「プライムはマトリクスの使用を拒んだ後、マトリクスによるスペシャルチームの創造を命令し、皆を驚かせた。その事を今更悔いてはいないはずだ」。
スカイダイブが呟く━「シルバーボルト、あんたがリーダーじゃなかったのかい?」ジェットファイヤーのオーディオ範囲内でエアーレイドは言う━「そうとも、こんな重要な任務のリーダーが前ディセプティコン様じゃな」。それを聞いたシルバーボルトはこの件には触れないようにと仲間達に伝えた・・・高く昇るほどに恐怖心が彼の心を掴む・・・今では、もう陸に向かって安全に飛べとすら命令してくる・・・これがプライムの気にしていたシルバーボルトのリーダーシップの妨げとなる問題であった。
ダニーは発電所に入った。そして、彼は工場に誰もいない事を知った。やかましい音をたてるジェネレータールームに入り、ふと踵を返す・・・部屋の角には地球のものとは思えない金属的な人影があった・・・ついに見つけたのだ!彼は前に進み、積み上げられた光り輝くキューブを確認、そしてその隣に輝くカゴを見る・・・そこには発電所の労働者が捕らえられていた!何故、自分を救ってくれたロボットが労働者を捕らえるのだろう・・・授業で難しい質問をされた時のような顔をしてダニーは考えた。だが、理解出来なかった。
エアリアルボット達は目的地上空に着いていた。下方には発電所があった。「スカイダイブ、君なら必要な作戦を立案出来るだろう」。ジェットファイヤーの質問にどもりながら答えるスカイダイブ━「行動を起こす前に、一人が着陸して、状況を把握した方が良いでしょう」。スカイファイヤーは無情に答える━「ダメだな、それでは敵に我々の存在を知らせる事になる。急襲のみが必要だ」。「いや、そうじゃない」━大人しく賛成する彼に反抗するファイヤーフライト。そんな言葉に怒ったようにスリングショットは「俺は賛成だ!」と言いながら降下していった・・・最も弱いエアリアルボットである為か彼は仲間から怒りを買っているように思われた・・・今回、新リーダーとなったジェットファイヤーにいい所を見せようとしているのかもしれなかった。「全く、一人じゃ連中に適わんぞ、皆、追うんだ!」シルバーボルトが命令した。
発電所・・・。ダニーは巨大な金属の手に掴まっていた。「こんなはずでは・・・新聞が何を言おうと、ロボットがこんなに乱暴な訳がない」。だが、その苦しみもすぐに終わった・・・オートボットが現れたのだ!労働者が逃げ、ライバルらしいロボットが戦う様子をダニーは見ていた。そして、ビームがキューブに命中。ジェットファイヤーが叫ぶ━「ファイヤーフライト、スカイダイブのメガブラストがエナジョンキューブを撃った。分子崩壊が始まるはずだ、すぐに爆発する。子供を連れて逃げろ!」。「いや、ダメだ!俺の操縦は危険なんだ!」━またも反対するファイヤーフライトに「うるさい、早く行け!時間がないんだ!!」━ジェットファイヤーが叱った。ダニーは一瞬でコクピットに座らされ、発電所を後にしていた。
チャールトンホテルがダニー目の前にあった。彼は母親にきつく抱きしめられた。その後、母親はロボットを見上げて驚き、ファイヤーフライトは逃げるように上空へと消えた。仲間の元へ戻り、彼は子供を傷つけはしなかったと説明しようとしたが、誰もその事を気にしている者はいなかった。ファイヤーフライトは異変に気づいてエアーレイドに聞いた━「ジェットファイヤーとシルバーボルトは?」「判らん。逃げたスタースクリームの後を追ったのだろう」。
シルバーボルトは恐怖心と戦いながらジェットファイヤーと共に敵を追っていた。先にいるスタースクリームは突然振り返り、ミサイルを発射・・・ジェットファイヤーに命中して彼は墜落した。もはやスタースクリームはシルバーボルトの射程距離から外れていた・・・敵を倒す方法は一つしかなかった━「エアリアルボット、合体!」。浜辺に残されていた4人のエアリアルボットは飛び立って、数秒でスペリオンを構成した!彼はすぐにスタースクリームを掴み、地上に叩きつける・・・偶然その場にあったチャールトンホテルは大破した。スペリオンは更に地上に降りて、瓦礫を漁る・・・敵を探し出す為に!近くでダニーが叫ぶ━「やめろ!何をしているか解らないのか?」。スペリオンはもがいたが、小さな人間の言っている事が解らないようだった。彼を構成する人格を同化するのに手間取っているのだ。彼の目的は唯一つ、ディセプティコンの破壊なのだから!スタースクリームはこの機に乗じて海へと逃げていった。
アーク・・・。プライムのチャンバーのドアはジェットファイヤーの後ろで閉まった。シルバーボルトがどのように恐怖心と戦ったか、彼らがどうお互いに助け合ったかをプライムに伝える。だが、スリングショットに仲間から向けられた怒りや、ファイヤーフライトの乗員だけでなく自身にも行われる危険な飛行の理由は彼には解らなかった。それに彼はスペリオンが状況を理解出来ない事も伝えなかった。しかし、彼は思うのだ・・・これは他の誰でもないエアリアルボット自身が解決する問題なのだと!
ダニーは海を見つめていた。ロボット達は彼の思うような存在ではなかった。彼らは人間と同じように戦争をしている。「もう時間よ、ダニー」母親が車から呼ぶ声がすると、彼はグチャグチャになったスクラップブックを取り出し、海へと投げた。「行くよ」ダニーはそう言った。

TO A POWER UNKNOWN! UK ANNUAL 1986

あらすじ:イギリス・・・。走るプライムのトレーラー内ではオートボットらが狭い内部に文句を言っていた・・・。彼らの任務はビームの発信源を突き止める事なのだ。
何故かと言えば・・・数日前、アメリカのパインウッズビルではオートボットと人間達はパーティを開き、楽しく過ごしていた・・・。だが、そこへ何処からともなく彼らの回路を狂わせるビームが放たれた・・・!攻撃を受けたオートボットの心は乱され、人間達に攻撃を始めてしまった!
数時間後、正常に戻った彼らはビームの発射地点がヨーロッパである事を突き止め、早速向かっていった。もちろん、ディセプティコンがこの件に一枚噛んでいると思っていた彼らであったが、当のディセプティコンもアメリカのどこかで同じビームの効果によって、親切な行為を繰り返していた!彼らもまた、オートボットの攻撃と睨み、ヨーロッパへと向かった。
そして、現在・・・。スタースクリームはオプティマスを発見していた。今こそ、攻撃の時だった・・・!
一方、そこから遠くない場所・・・シークレットリサーチ社では、パーネル教授が自動逆転防衛システムの2度目のテストを行っていた。このシステムを使えば、たとえ敵国がミサイルを発射しても、ミサイルは持ち主の元へ戻っていってしまうのだ!しかもプログラムしなければ人間の造った機械類には一切影響を及ぼさないシステムなのだ!
再び・・・。スタースクリームの攻撃はプライムのトレーラー部を破壊・・・内部のオートボットは傷ついた。「何故だ!?後ろにいる馬鹿共は何故、私に攻撃の事を伝えなかったんだ!?」━プライムの言葉も凄かったが、ミラージも負けてはいなかった━「プライムめ!俺達を殺ろうって気だな。死んでもらおうか!」。正気に戻り、逃げ出すプライム。それを追う狂気に駆られたジャズとミラージ!
一方、リサーチ社では・・・。テストは終了していた。教授は設計図を机に置いて、ヨーロッパ・セキュリティ・アドバイザーであるフランバート氏と部屋を出る・・・アシスタントのヘイルマンを残して・・・。
一方、オートボットは・・・?プライムを狙うジャズを止めるサイドスワイプ・・・その頃には、皆の機能も元に戻ってきていたのだ。再び現れるスタースクリーム・・・自分を置いて、作戦の続行を命令するプライムだった。機械システムが完全に戻っていないスタースクリームの攻撃をかわしたプライムは薄々ながらも、ビームがディセプティコンによるものでない事に気づいていた。
そして、リサーチ社・・・。ヘイルマンがマイクロカメラで設計図を撮っているのを教授が発見、ヘイルマンに自分が疑いを抱いていて、設計図を偽者と取り替えておいた事を告げる。怒ったヘイルマンは教授に警報機を押される前に、彼を殴り倒した!
教授が倒れる際に、再びシステムを起動させた為にトランスフォーマー達は機能不全に陥ったが、ジャズだけはかろうじてビームの発信源に近づいていた。
火に包まれたリサーチ社から飛び出したヘイルマンは外にいたジャズに乗り込み、飛行機にいる仲間に連絡を取る・・・設計図が偽物でも、彼の欲しい情報はミサイルの中心部分だけだったのだ!
走るジャズの上空からスタースクリームが降りてくる・・・。仲間の飛行機とスタースクリームを勘違いしたヘイルマンはジャズから降り、駆け寄っていった。コクピットを叩きながらヘイルマンは叫ぶ━「開けるんだ!こいつで、世界中のコンピューターを操る事が出来るんだ!」。それを聞き、ディセプティコンの手に渡すわけにはいかないと思ったジャズは、スタースクリームへと向かったが、ヘイルマンを乗せたままスタースクリームは去っていった。熱探知ミサイルを発射するジャズだったが、スタースクリームには考えがあった・・・ハイパーブラストにすれば速度を上げて逃げおおせる事が出来るのだ!だが、いまだに続くシステム異常の為に、ロボットモードへと変形、地上へと落ちていった・・・そして、冷たい金属となった彼以外の熱源であるヘイルマンへとミサイルは向かった。
システム設計図は消えたが、スタースクリームにはジャズとの戦いが残っていた・・・しかし、残り少ないエネルギーを気にして、彼は空へと消えた。
回路は元に戻り、仲間と合流したジャズはUKベースにいるラチェットに連絡をする━「患者がいるよ、ラチェット・・・オプティマス・プライムだ」。

また、”ROBOT WAR"という#42~95までのストーリーラインを書いた文章が掲載されている。


コメント

  1. あのState Gamesが載っているUKアニュアル86ですね……!
    クラシックスでしか読んでいないので、実物をいつかは読んでみたいです

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  2. ふがし様 じゃあ、オルヘで今度持ってきますゎ

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